-精神科コラム- 2024年9月

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統合失調感情障害とは?- 2024年9月9日-

統合失調感情障害は聞いたことがないという方がほとんどではないでしょうか?厳密には統合失調症とは、違います。

統合失調感情障害は、統合失調症と気分障害(うつ病または双極性障害)の2つの症状が現れる疾患です。そして、それらの症状は同時期に起こります。
感情障害でもなく、統合失調症でもないため、見分けがつきにくいため、診断に至るまで時間を要します。生涯罹患率は統合失調症よりも低く約0.3%で、発症するのは男性よりも女性の方が多いと言われています。

【統合失調感情障害の特徴】
統合失調感情障害の症状は日常の生活に影響を与え、発症するまではできていたことでも行うのが難しくなるのです。そのため統合失調感情障害を他の疾病と区別し適切に診断するために、長期的に症状を観察し進行を評価することが必要です。
人格水準の低下は目立たないため、予後は統合失調症より良好であることも特徴のひとつに挙げられるでしょう。

【統合失調感情障害の症状】
統合失調感情障害では統合失調症と気分障害の症状が現れます。ふたつの疾病の特徴が見られることが判断基準になっており、それぞれの症状の時期が重なっていなくてはなりません。

【統合失調感情障害の原因】
遺伝子による原因が報告されておりますが、解明されていないため、はっきりとした理由は特定されていません。

【統合失調感情障害の治療方法】
統合失調感情障害における治療法は、統合失調症と似ています。
薬物療法では統合失調症や抑うつ気分の症状を緩和するために、抗精神病薬や抗うつ剤が処方されます。躁病症状が見られる場合には、気分の高まりを抑えるリチウムやバルプロ酸、カルバマゼピンなどの気分安定剤が使われるでしょう。
治療には薬物療法を用いるのが一般的ですが、症状によって精神療法(心理療法)やリハビリテーションを併用することがあります。

【まとめ】
統合失調感情障害は統合失調症と気分障害の症状が組み合わさった疾病で、あまり馴染みのない方が多いかもしれません。けれど、日常生活を送ることが難しくなる、異常な行動を取ってしまうなど、社会から孤立してしまう要素を含んでいるため、早期に発見することが求められます。

統合失調症や気分障害と区別するために、診断は慎重に行われるため時間がかかりますが、適切な治療を受ければうまく対処可能な疾病です。症状が安定してきたら、周囲の力も借りながら過ごすことで再燃も防げると言われています。ぜひ自分自身や身近な人のためにも、特徴や症状を知っておくといいでしょう。

不眠症とは?- 2024年9月24日-

不眠症とは、良質な夜間の睡眠を十分に取ることができず、仕事や学業に支障をきたすなど日中の機能障害が生じた状態を指します。日中の機能に支障をきたすことが診断のポイントになります。

  • 不眠症状には寝付きが悪い(入眠困難)
  • 夜間に目覚めてその後眠れない(睡眠維持困難)
  • 朝早くに目覚めてしまう(早朝覚醒)

の3タイプがあります。

不眠症を引き起こす原因はさまざまであり、心理的なストレス、飲酒、薬物、身体の不調など多くのものがあります。不眠に関しての問題を抱える人の割合は高く、成人の30%以上が一過性の不眠症状を経験し、10%ほどが不眠症に罹患していると報告されています。すなわち、現在の日本においては誰であっても不眠症に陥る可能性があるといえます。

【原因】
不眠症の原因としては、不適切な生活習慣、心理的なストレス、アルコールなどの嗜好品や薬物、心身の病気などが挙げられます。
1日24時間の枠組みの中で決まった時間に寝起きし規則正しい生活を送るには、日中の活動時間に光を浴びて体内時計をリセットすることが必要不可欠です。しかし、深夜営業・終夜営業のコンビニの存在、就寝前のスマートフォンの利用、24時間稼働の工場勤務や夜勤労働など、不適切なタイミングで光を浴びることでヒトの体内時計に狂いが生じます。
また、家族や親しい友人の死去、仕事の過度なストレスなどの心理的なストレスも不眠症の原因になります。また寝付きをよくするためにアルコールを飲む方もいますが、むしろアルコールは夜間の睡眠の質を悪化させるため、結果として不眠症を引き起こす要因になります。

【症状】
不眠症では、夜間の不眠症状が基盤にあります。不眠症状のタイプとしては入眠困難、睡眠維持困難、早朝困難があります。

①入眠困難
なかなか寝付けないことです。寝るまでに30分から1時間かかる場合がこれにあたります。不眠症の中でももっとも訴えの多いものです。

②睡眠維持困難
いったん眠りについても何度も目が覚めてしまう、目が覚めた後に眠れない場合がこれにあたります。年齢を重ねるとともに眠りが浅くなり目が覚めやすくなります。お年寄りに多くみられるタイプです。

③早朝覚醒
朝早く目が覚めてしまい、そのまま眠れない場合です。年齢を重ねるとともに体内時計のリズムが前にずれやすく、この症状が出やすくなります。

不眠症では、こうした不眠症状により日中の機能障害が生じることが特徴です。具体的には、仕事や学業に支障をきたすなどのパフォーマンスの低下、集中力や記憶力の低下、やる気が出ない、情緒の不安定さ(気分がすぐれない・イライラしやすいなど)がみられます。

【不眠症の検査】
不眠症の診断においては、どのようなタイプの不眠症状があるのか、またそれによる日中の機能障害があるのかを判断することが重要です。さらに睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群など、ほかの睡眠障害を除外できる場合に不眠症と診断することになります。

基本的には、不眠症状や日中の機能障害は問診による主観的な評価をもとに判断しますが、夜間睡眠の状態をより詳細に評価するために”睡眠ポリグラフ検査”という検査が行われることがあります。また、腕時計型の加速度センサーを手首に取り付け、連続的に活動量を計測する“アクチグラフィ”という検査が行われることもあります。

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