仕事でのストレスを機に、うつ病になってしまう方はたくさんいます。
仕事のストレスと一言で言っても、さまざまなタイプがあります。自分のストレスをしっかりと見えるようにすると、それだけで良くなっていく方もいます。そのため、最初は原因を考えていきます。
【仕事のストレスによる影響】
ストレスは「変化の大きさ」が最も影響を与えます。
ストレスの影響力=ストレス強度×持続時間×頻度×変化
これらの4つの要素のうち、もっとも影響が大きいものは、「変化」です。人は変化にとても弱いです。昇進や昇給、希望する部署への異動などプラス要素の変化も、時にストレスになります。良くも悪くも、変化することは全て「ストレス」なのです。
人は、ストレスを受けると三段階の反応をとります。
第一段階は警告反応期です。ストレスを受けると、そのショックから一時的に身体の機能が低下しますが、抗ストレスホルモンが分泌され、身体の機能を活発化させることで身を守ろうとします。
第二弾階の抵抗期です。長引くストレスに身体が抵抗し、普段よりも抵抗力が強くなっている状態です。
第三段階は疲憊期(ひはいき)です。長期にわたってストレスを受け続けた結果、身体が疲労困憊してしまった状態です。ここまでくると抵抗力が下がり、睡眠や食事などの生活リズムも乱れ、身体機能が低下していきます。
このようにして、うつ病などにつながっていきます。
【4つのポイント】
量的負担・質的負担・社外の人間関係・社内の人間関係の4つのポイントで考えていきましょう。
自分がどのようなことにストレスを感じているのか、はっきりさせるだけでも意味があります。全体像がみえると、それだけで楽になります。自分のストレスを、自分で把握することにも意味があります。
【仕事のストレス(量的負担)】
仕事の量が増えてくると、ストレスになります。ですが、純粋に仕事量が多い=ストレスが多いというわけではありません。
まず、客観的な業務量は、純粋にトータルの業務量の多さです。同僚などと比較すれば、その業務量が多いかどうかは見えてくるかと思います。
また業務量の多さは純粋に量だけでなく、主観的にも変わってきます。楽しいと感じていれば、業務量は少なく感じます。単調な作業は、客観的な業務量以上に負担が大きいです。また、自分のキャパが小さい方と大きい方では、同じ業務量でもストレスへのとらえ方がかわります。
さらには、職場内での業務量の比較も影響します。人はどうしても比較をしてしまいます。同じ境遇の中で、自分より辛い人をみれば、「自分はマシだ」と思えます。反対に、自分より周囲が楽をしていれば、「自分の待遇がよくない」と、よりストレスが増します。
そして、ストレスに影響のもっとも多いのが変化です。納期の都合や季節性に業務が変化すると、オンとオフの差が激しくなります。その変化についていかなければいけません。
休みをとることもストレスの軽減になります。休めるかどうかよりも重要なのが、休みを取りやすい環境かどうかです。休みにくい中で無理やり休むと、しっかり休まりませんよね。
【仕事のストレス(質的負担)】
仕事の中身もストレスには重要です。仕事の質的負担にはどのようなものがあるでしょうか。
責任の大きさは、失敗できないという管理職には、プレッシャーがかかります。扱う金額が大きい、自分が意思決定をしなくてはいけない、などいろいろな仕事の責任に伴うプレッシャーがあります。
自分の仕事をどれくらい裁量権をもてるかどうかは、ストレスに大きな影響があるといわれています。要は、自分のやり方で仕事をすすめられていればストレスは感じにくいということです。これは管理職より一般社員の方がストレスを感じやすい部分です。
具体的には経験が少なく慣れない業務ですと、仕事の効率はどうしても落ちてしまいます。達成感が得にくくなってしまうので、量以上のストレスがかかります。
見通しの立てにくい業務も、全体像がみえないので結果につながりにくく、達成感が得にくいです。今やっていることが、全体の中でどのような位置づけになるかがわかりにくいと、ストレスはより増加します。また、電話対応などの流動的な業務のが多いと、担当業務の効率があがらないようなこともあります。
質的に変化のある業務は、その変化にあわせていくことが大変です。予期せずに業務が変化したり、突発的に業務が加わったりすると、ストレスは大きくなります。
【仕事のストレス(社外の人間関係)】
直接お客さんと関係を築く必要がある方は、さまざまなストレスがあります。
顧客の相性の問題もあります。つきあいにくい顧客はいらっしゃるかと思います。それこそ、問題のあるお客さんに接する方もいらっしゃると思います。それでも会社の名刺をもってきている以上、つきあわざるを得ません。
そのつきあいが半ば強要されてしまうこともあります。サービスにお金を出してもらう顧客には、そのサービスの内容だけでなく日頃のつきあいも影響します。ですから、無理をしなくてはいけない方もいらっしゃいます。
休日や勤務時間外などに臨時対応しなくてはいけないこともあります。「いつ呼ばれるかわからない」という心持ちで休日をすごすと、あまり休まりません。
それでも仕事が上手くいっているときは、大きくは問題にならないことが多いです。顧客との関係性が崩れていくのは、ミスが起きた時です。1度ミスが起きてしまうと、その対応はもちろんのこと、原因説明、予防などと対策を講じなければいけません。
そのような時に、会社としての建前を顧客に伝えなければいけないこともあります。直接伝えることもストレスになりますが、それ以上に顧客への伝え方を決定するほうのストレスも大きいです。
【仕事のストレス(社内の人間関係)】
会社は長い時間を過ごす場所です。そこでの人間関係が上手くいかないと、大きなストレスになります。会社での人間関係としては、部下・同僚・上司・部署・会社の5つの対象との関係性をみていきましょう。
部下とうまくつきあって円滑に仕事をしていくことは、とても難しいです。管理職としても自身の評価されるポイントになります。部下に信頼されていないと感じながら仕事をしていくことは大きなストレスになります。
同僚との人間関係が上手くいかないと、困った時に相談することもできません。また、疎外感をもちながら職場で仕事をしていくのもストレスになります。
そして上司との人間関係は、自分の評価にも影響するので大きなストレスになります。仕事のストレスとして最も多いのは、「上司から自分が思うように評価されていない」となります。
また、個々の人間関係ではありませんが、部署としての雰囲気や会社のビジョンへの共感も影響があります。
【まとめ】
ストレスは「変化の大きさ」が最も影響を与えます。
量的負担としては、
l 客観的な業務量
l 主観的な業務量
l 業界内での業務量
l 量的変化
l 休みの取りやすさ
質的負担としては、
l 責任の大きさ
l 並行業務の多さ
l 経験の少なさ
l 見通しの立てづらさ
l 質的な変化
社外の人間関係としては、
l 顧客との相性
l つきあい
l 臨時対応の多さ
l ミスの対応
l 建前と本音化
社内の人間関係としては、
l 部下
l 同僚
l 上司
l 部署
l 会社との関係